東京オートサロン 2016 ブースリポート
新旧2台のレーシングカーと最新技術のタイヤ、
ステージコーナーでDUNLOPの世界観を体感展示
DUNLOPブースの構成は、右エリアに伝説的なレーシングカーである「ALPINE(アルピーヌ)M63」を、左エリアにGT300の新チャンピオンマシンである「GAINER TANAX GT-R」、中央エリアには現行の最新タイヤ8製品と高性能バイオマス技術紹介コーナーをレイアウトし、中央奥にはトークショーやダンスショーなどを行うメインステージと大型モニターを設置しました。ブース左端にはハートのパネル前で写真撮影ができる「ハートで撮ろう!撮影ハートパネルコーナー」も設けました。ブース全体のカラーリングはDUNLOPのブランドカラーであるブラック&イエローでまとめています。また、コンパニオンの衣装はブラック&イエローで仕立てるとともに、長めのスカート裾&袖を組み合わせてブースのコンセプトである“長持ち”を表現しました。
名門アルピーヌがル・マン24時間レースに初参戦したレーシングマシン
「ALPINE M63」はDUNLOPタイヤを履いていた!
ジャン・レデール率いるフランスの名門チューニングカーメーカーであるアルピーヌは、1963年にルノー公団の要請を受けて、社内に本格的なモータースポーツ部門を設立します。この体制変更を機に、レデールはレース専用のプロトタイプカーの開発を推進。同年に自社初のスポーツプロトタイプマシンである「ALPINE M63」を完成させました。各機構を手がけたのは、ミッドシップに搭載するエンジン(Type55・996cc直列4気筒DOHC)がアメディ・ゴルディーニ、セミスペースタイプフレームのシャシーがブラバムで名をあげていたロン・トーラナック、FRP製のエアロボディが空力学の専門家であるマルセル・ユベールという、名だたるエンジニアたち。そして、肝心のシューズには高性能なDUNLOPのレーシングタイヤが装着されました。ル・マン24時間レースのデストデイでベールを脱いだM63は、その後のニュルブルクリンクのレースでクラス優勝を果たします。しかし、メインの舞台に据えた地元開催のル・マン24時間レースでは、出場した3台とも残念ながらリタイアを喫してしまいました。不本意な成績に終わったM63。その悔しさと経験は、1964年開催のル・マンで熱効率指数賞を獲得した発展型の「M64」、そして1966年開催のル・マンでクラス優勝に輝いた「A210」へとつながっていきました。
今回展示されたM63は、同車の記念すべき第1号モデル(#1701)です。タイヤは4.50M-13サイズのDUNLOP RACINGを装着していました。また、雛壇内にはモニターを設置。ル・マン24時間レースに参戦した車両または同型車を対象としたクラシックカーレースの「ル・マン クラシック」で疾走するM63の映像を流していました。フレンチブルーに彩られた流麗な空力スタイルに、来場者も興味津々。「なぜここに昔のアルピーヌが?」の問いに、「実はDUNLOPタイヤを履いてレースに出ていまして――」と答えるスタッフの姿が何度も見受けられました。
DUNLOPのレースタイヤを装着する2015年GT300チャンピオンマシンの
「GAINER TANAX GT-R」が登場!
往年のDUNLOPユーザーのレーシングカーである「ALPINE M63」と対をなして展示されたのは、2015年SUPER GTシリーズの偉大なるGT300チャンピオンマシン、「GAINER TANAX GT-R(#10)」です。空力パーツを満載した専用ボディにVR38DETT型3799cc・V型6気筒DOHCツインターボの強力エンジンを搭載したFIA-GT3規定車両のGT-Rは、シューズに前後330/710-18RサイズのDUNLOPレースタイヤを装着しています。ドライバーは豊富な経験をもつアンドレ・クート選手と、若手の成長株の千代勝正選手、そして千代選手がヨーロッパのレースにも並行して参戦していたため、不在時と長距離レースのための第3ドライバーとして若手の富田竜一郎選手が起用されました。3人の有力ドライバーが駆るGAINER TANAX GT-Rは、第1戦岡山でいきなりポールポジションを獲得すると、第2戦富士では早くも優勝を達成。その後も第3戦タイで2位、第5戦鈴鹿で優勝、第7戦オートポリスで2位に入るなど、全戦での得点と素晴らしい速さを見せつけました。最終結果は、チームのポイントランキングで1位、ドライバーズポイントランキングで1位(クート選手)と2位(千代選手)を獲得。GT300クラスの完全制覇を成し遂げました。
鮮やかなレッドと渋いグレーのカラーリングを施したボディに、ブラック&イエローのDUNLOPステッカーが映えるGT-Rは、会場でも大注目。普段なかなか見られないレース用タイヤを写真に収めたり、雛壇内のモニターに映し出されるレースシーンをじっくりとながめたりする来場者が後を絶ちませんでした。
触ったり突いたりできる単品タイヤ8種類を展示。
合わせて高性能バイオマス技術の紹介コーナーも設置
新旧のレーシングカーの間には、見て、触って、しかも爪で押したりもできるタイヤ単品の展示コーナーを設けました。ラインアップは非常にユニーク。普段なかなかお目にかかれないモータースポーツ用タイヤを3種類展示しました。ひとつはオンロード競技用の「DIREZZA 03G」。新プロファイルとグルーブを採用し、優れたグリップと高度な操作性を実現した逸品です。2つめはダート&ラリー用タイヤの「DIREZZA 87RW」。進化した非対称方向性パターンで高いグリップとトラクション性能を確保するともに、各部の剛性を最適化した高剛性構造を採用することで、幅広い路面コンディションで実力を発揮するタイヤです。そして3つめは適用路面を拡大させたダート&ラリー用タイヤの「DIREZZA 74R」。専用の非対称パターンにより、ルースから硬質ウエット路面までトラクション性能がさらにアップした製品です。タイヤ単品の横にはモニターを設置し、各製品を装着したクルマの走行シーンを放映。DIREZZA 03Gはジムカーナ、DIREZZA 87RWはラリー、DIREZZA 74Rはダートトライアルでの映像を流しました。ほかの単品タイヤも要注目。DUNLOPのタイムアタックイベント「DIREZZA CHALLENGE」のモニター映像を横に据えたハイグリップスポーツタイヤの「DIREZZA ZⅡ★」、低燃費プレミアムコンフォートタイヤの「VEURO VE303」、低燃費コンフォートタイヤの「LE MANS 4」、ミニバン専用低燃費タイヤの「エナセーブRV504」、低燃費スタンダードタイヤの「エナセーブEC203」をディスプレーしました。
単品タイヤ展示ゾーンの奥には、高性能バイオマス技術の紹介コーナーを設けました。100%石油外天然資源タイヤの「エナセーブ100」で培ったバイオマス技術は、石油由来の原材料のすべてを天然資源に置き換えたものです。さらに、DUNLOPではタイヤの硬くなる要因のひとつである経年に伴う軟化剤の抜けを抑制する、高性能バイオマスから作った“しなやか成分”を新開発しました。紹介コーナーでは、高性能バイオマス技術による新ゴムと従来の軟化剤入りゴムの新品時および数年経過時を比較展示。実際に触ってみると、とくに数年経過時のしなやか成分配合ゴムの柔らかさが際立っていました。ゴムの柔らかさが維持されて、タイヤのグリップ力が“長持ち”する高性能バイオマス技術。DUNLOPではこの新技術を応用した製品の開発を鋭意、進めています。