2011年に完成させた独自の新材料開発技術「4D NANO DESIGN」をさらに進化させる研究を進め、大型放射光施設「SPring-8」※1・大強度陽子加速器施設「J-PARC」※2・スーパーコンピュータ「京」※3を連携活用することで、ゴムを分子レベルで忠実に再現したシミュレーション解析により、タイヤの相反性能である低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能の大幅な向上が可能となりました。
「ADVANCED 4D NANO DESIGN」は、低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能という、相反性能であるタイヤの三大性能を高い次元で両立するために、ナノからミクロンレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることを可能とする技術です(図1・図2)。
【図1】「4D NANO DESIGN」と「ADVANCED 4D NANO DESIGN」の解析可能範囲
【図2】「ADVANCED 4D NANO DESIGN」により三大性能を同時に向上
大型放射光施設「SPring-8」※1でゴムの構造解析を行い、世界最高クラスの中性子・素粒子実験ができる大強度陽子加速器施設「J-PARC」※2で運動解析を行うことで、ゴムの内部構造と分子の運動を鮮明に観察することが可能となり、これまで見えなかったシリカ界面ポリマーの構造や運動、硫黄架橋の不均一性・硫黄架橋長さ分布、シリカネットワークの運動などを捉えることに成功しました。さらに、スーパーコンピュータ「京」※3によって、広い領域を分子レベルでシミュレーションすることにより、ゴム内部のストレスや発熱が発生している箇所を同時に特定することが可能になりました。(図3)
【図3】国内最先端研究施設の連携活用イメージ
このシミュレーションで原子、分子の動きを詳細に解析した結果、ゴム内部のストレスや発熱を発生させている原因が、シリカネットワーク運動、架橋構造、シリカ界面ポリマー運動と密接に関係していることが分かりました(図4)。このストレスを発生させる原因を低減することで、相反性能であるタイヤの三大性能を向上することを可能とする技術が「ストレスコントロールテクノロジー」です(図5)。
【図4】ゴム内部のストレス発生部分を特定
【図5】ストレスコントロールテクノロジーの確立
例えば、「ストレスコントロールテクノロジー」を適用した事例として、耐摩耗性能に着目して観察した結果、従来のゴムではゴムが変形する際に、局部的ストレスが掛かるとゴム分子に隙間ができ、摩耗の原因となる「ボイド」と呼ばれる空隙(くうげき)(図6の黒色部分)が発生します。これに対して、ストレスコントロールテクノロジーを適用したゴムではボイドの発生原因となるストレスを高次元にコントロールすることで、その発生を抑制し、同時に発熱もコントロールすることが可能になります(図6の右)。
これにより、低燃費性能、グリップ性能を維持しつつ、耐摩耗性能を飛躍的に向上させるゴムの開発に成功しました。
【図6】ストレスコントロールテクノロジーによりボイド(空隙・くうげき)の発生を抑制 ‹ボイドの発生状況:SPring-8 高精細X線CT観察結果›
従来のゴム
ストレスコントロールテクノロジー適用ゴム
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