世界屈指の自動車の祭典、「第45回東京モーターショー2017」が2017年10月25日(水)~11月5日(日)にかけて東京ビッグサイトで開催されました。
今回のDUNLOPブースの出展コンセプトは、“革新の歴史”と“未来に向けた挑戦”です。来年で創立130周年を迎えるDUNLOPのは歩みは、常に先進の技術を追求してきた“挑戦”の歴史。
その道程を顧みながら現在、そして未来のモビリティ社会に求められる高度な技術を、製品やムービーなどによってわかりやすく披露しました。
では、ブースの内容を詳しくレポートしていきましょう――。
未来のモビリティ社会で求められる性能を実現する
技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を発表
今回発表したSMART TYRE CONCEPT (スマートタイヤコンセプト)は、「さらに高い安全性能」そして「さらに高い環境性能」を実現する、これまでとは一線を画した新しいタイヤを生み出すための技術開発コンセプトです。
基本概念としては、安全を支える技術である「セーフティー・テクノロジー」、環境に寄与する技術である「エナセーブ・テクノロジー」、そしてそれらを支えるシミュレーションおよび解析技術である「コア・テクノロジー」の3つの技術で構成しています。ブースでは、新コンセプトの核となる「LCA」「エアレスタイヤ」「SENSING CORE(センシングコア)」「アクティブトレッド」「性能持続技術」という5つの方向性について紹介するコーナーを設けました。
まずLCAコーナーでは、商品ライフサイクル全体で環境性能のレベルを引き上げるLife Cycle Assessment(LCA)の取り組みを紹介。展示物は100%石油外天然資源タイヤの「エナセーブ100」と、ラベリング制度最高グレードに加えて耐摩耗性能を大幅に向上させた「エナセーブNEXTⅡ」という2種類のタイヤに、LCAの説明パネル、バイオマス材料となる植物由来の素材(とうもろこし、菜の花、松の木、さとうきび、藻)、そしてタイヤの説明などを上映する55インチモニターで構成し、循環型社会の実現に寄与する商品の開発を推進している事実を来場者にアピールしました。
エアレスタイヤコーナーでは、金属製ホイールと特殊樹脂スポークからなる車輪の外周にタイヤのトレッド部を接着させた形状の、空気充填することなくタイヤの基本性能を満たすGYROBLADE(ジャイロブレイド)コムスとGYROBLADE次世代ミニバンの2種類のタイヤを展示しました。
GYROBLADEはパンクや整備不良による空気圧の過不足の心配がなく、メンテナンス作業の負荷を大きく低減できるとともに、スペアタイヤが不要になることで環境にも配慮した技術。また、特殊樹脂スポークは豊富なカラーバリエーションを提供できるため、ファッション性を高めることも可能です。近未来のモビリティの足もとを支える新世代のタイヤとして、現在熱い注目を集めています。
SENSING COREコーナーでは、ミラーディスプレイ+50インチ液晶モニターなどによって技術内容を紹介しました。SENSING COREは、ブレーキのECU(エンジンコントロールユニット)に独自のアルゴリズムを組み込むだけで、タイヤがセンサーに変わる新しいセンシング技術です。滑りやすさをはじめとする路面状況やタイヤの摩耗状況、荷重、空気圧などを検知し、入手されたデータはその車両を制御するための情報として処理されるとともに、クラウド経由で街、社会の情報に統合されてビッグデータとして解析されます。そしてそのデータは車両にフィードバックされ、路面やタイヤに起因する危険をあらかじめ察知し、回避することが可能になるのです。
アクティブトレッドのコーナーでは、タイヤ回転什器+モニターなどで仕組みを解説しました。アクティブトレッドは、ウエットや凍結など路面状況の変化に反応してゴムの機能がアクティブ(能動的)に変化することで、路面および気温に応じた最適なグリップ性能を発揮する技術です。自動運転化の進展に伴い、移動のために人が担う部分が減少するとともに自動車側が担う範囲は拡大しますが、アクティブトレッドはその自動運転の安全・安心に寄与することができるのです。
性能持続技術のコーナーでは、タイヤが摩耗することで生じる性能変化を予想できる新技術の「Tyre Lifetime Simulation」を活用することで、摩耗と劣化による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続する技術を紹介しています。展示タイヤは「WINTER MAXX 02」。
ゴムのしなやかさ維持に効果を発揮する高機能バイオマス材料の「液状ファルネセンゴム」を採用することによって高い氷上性能を長期間維持するスタッドレスタイヤで、性能持続技術の実用化の代表例です。今後は、さらにゴムの内部構造変化を抑制・修復し、経年劣化により損なわれた機能を補う新材料の開発により、さまざまな面から性能の低下を抑制する技術開発を進める所存です。
一方でブースの中央には、SMART TYRE CONCEPTの紹介映像とヒストリー映像を映し出す5m×2.5mの大型LEDモニターと、直径120cmの球体LEDを設置しました。常に技術革新を続けているDUNLOPの活動を、わかりやすく来場者に伝えることが目的です。
歴史ゾーンでは代表的な革新タイヤを時系列で紹介
DUNLOPのコーポレートカラーであるイエロー&ブラックで彩ったブースに入ると、まず歴史ゾーンが現れます。ここでは4種類の代表的な革新タイヤを時系列で展示しました。
ひとつめはDUNLOPが1988年に世界で初めて開発した空気入りタイヤ(レプリカ)。英国の獣医ジョン・ボイド・ダンロップ(J.B.ダンロップ)は、10歳になった息子のジョニーに「ボクの三輪自転車をもっと楽に、早く走れるようにして」と頼まれます。そこでジョンはタイヤゴムの内側に空洞を設け、そこに空気を入れて路面からのショックを吸収させるという構造を考案。
ゴムのチューブと、ゴムを塗ったキャンバスでタイヤを構成し、これを木の円盤のまわりに鋲で固定した空気入りタイヤを生み出しました。空気入りタイヤはソフトな乗り心地が得られるばかりではなく、転がり抵抗が減ってより速く走れ、しかも路面とのグリップ性能が向上するというメリットを生みます。
空気入りタイヤの実用性の高さを確信したJ.B.ダンロップは、国に空気入りタイヤの特許を申請します。そして1888年12月に申請が認可され、特許状が発行されました。
2つめは国産1号タイヤです。英国DUNLOP社の日本支店は1913年に自動車用タイヤの生産を開始します。国産の自動車用タイヤ第1号の誕生です。当時の日本の自動車普及率はまだまだ低く、1912年の時点で全国の自動車保有台数はわずか521台に過ぎませんでした。
日本での生産は、今後自動車の保有台数が大きく伸びる、またインドネシアやシンガポールなどにも輸出できるという算段をしたうえでの決断でした。当時の自動車用タイヤの日産は25~26本で、製法はファブリックタイヤまたはキャンバスタイヤと称した、ゴム引きした綿布を重ね合わせるやり方を採用していました。
製造開始から間もなくして、日本での自動車の普及は急伸。1926年には保有台数が4万70台にまで増え、それに伴って同社は日本における自動車用タイヤ製造のリーダー的存在に発展しました。
3つめは1970年に開発したランフラットタイヤの前身となる「DENOVO(デノボ)」です。デノボはホイールにセットしたカートリッジにタイヤ内面が触れると、シーラント剤を噴出して内圧を維持するシステムで、軽いパンクなら所定速度で一定距離の走行が可能な革新タイヤした。1972年にはシーラントジェルとリム外れ防止機構を備えた「DENOVO2」へと進化。軽度のパンクなら、80km/hで160kmの走行が可能な性能を有していました。
4つめは世界初の「特殊吸音スポンジ」を組み込んで2006年に発売した新コンフォート系タイヤの「LE MANS LM703」です。LM703では従来の技術で解決することが難しかった250Hz付近の空洞共鳴音を、タイヤの内側に設置した特殊エーテル系ポリウレタン材の特殊吸音スポンジによって大幅に低減させることに成功しました。これは、タイヤ内部の空気をデジタル解析する空気圧力変動シミュレーションを加えた「DRSⅢ」を採用した成果のひとつでした。
注目のコンセプトカーに装着するコンセプトタイヤが間近で見られる!
ブースの右背面には、コンセプトカーに装着するDUNLOPのコンセプトタイヤのディスプレイコーナーを設けました。
ショーの花形である各自動車メーカーのコンセプトカーに装着するコンセプトタイヤを単品で、しかもじっくりと見られる機会はなかなかないこと。来場者もDUNLOPのコンセプトタイヤのディスプレイコーナーに熱い視線を注いでいました。
過去から現在、そして近未来へとつながるタイヤの技術革新の道程を体感展示したDUNLOPブース。クルマを足もとで支えるタイヤの進化に情熱を傾けるDUNLOPの活動に、今後もぜひご期待ください。
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