植樹地域~現地ブログ~ チーム・エナセーブ

水の中を走る日常

2016年3月8日|植樹地の様子

偏西風の季節は、ベドノ村のみならず、他の周辺の村やスマランの町(地域の中心都市)も高波と強風の影響により浸水の被害を受けます。 ベドノ村からスマランの町に向かう幹線道路を走っていると、それを実感します。満潮時、道路の一部分が海水に浸かってしまうのです。なんと50cm~60cmも浸水することもあるとか!当然車両は徐行して走ることになり、それが渋滞を引き起こしています。海岸部にあるスマランの町は海抜0.75cm-3.5mしかないのです。 また、満潮時には町を流れる小さな川から海水があふれ、家にも流れ込んでいます。こうした事態は、海岸部に住む人々にとっては日常になりつつあります。床下浸水や道路の浸水は、日本でも起こることはありますが、「それが日常になっている」、というのはやはり驚くべきことです。 しかし、こうした状態に対し、何も対策を取らなければ、事態は悪化していくでしょう。スマランやベドノ村の周辺の村々では、道路のかさ上げを行い、海水が道路を侵食する事を防ごうとしています。しかし、こうした対策は根本的な対策とは言えるでしょうか?浸水時は、人々の意識がマングローブ植林に向くタイミングでもあります。 Check

2ヵ月後の様子

2015年12月24日|植樹地の様子

前回のブログで「2015年9月に20,000 本の苗が植林されたこと」を報告しました。今回の記事はその2か月後の様子の報告です。 この植林地でも他の植林地同様に「モニタリング活動」と呼ばれる、植林した苗の管理を始めています。管理の様子は何度かこのブログでも紹介しましたが、このモニタリング活動をやるのとやらないのとでは植林の結果に大きな違いが出てしまう大切な作業です。 直近の活動としては、苗木に添え木を結びつける作業が行われました。強い波をもたらす西風のシーズン前に、より苗木を安定させ、その流出を避けるための作業です。あらかじめ風の被害を受けにくい場所を植林地として選定していますが、念には念を入れて一本一本に木を添えていきます。添え木は、強い波から苗木たちを守ってくれることでしょう。 話は変わりますが、苗木は2か月の内にどのくらい成長していると思いますか?(マングローブはその細長い種子を苗木として利用します)この短い期間の内に、苗木からは根はもちろんの事、3~4枚の葉も出てきています。良好な土壌条件であったので、この様に順調に生育することができました。  2万本の苗木に支柱を添えていく作業は2日間続きます。干潮時は腰の深さまで泥に漬かります。そのような中では移動することすら困難です。そのため、メンバーは満潮時の作業を好みます。やっかいな作業ではありますが、苗木がしっかりと泥の中に根付くのにこの支柱が大きな役割を果たしてきているため、おろそかにはできないのです。 植林2か月後の様子を少しお分かりいただけたでしょうか。今のところ順調と言えますが、自然の中の事ですから何が起こるか分かりません。植林グループのメンバーが慎重に見守って居ますが、是非読者の皆様もブログを通して関心を持ち続けてもらえると嬉しいです! Check

4年目の植林活動が行われました。

2015年11月18日|植樹地の様子

2012年に開始したDemak県のマングローブ植林プログラムが4年目を迎えました。このプログラムでは、これまでの3年の間に、Rhizophora Mucronataという種類のマングローブ苗、合計108,800本が植林されています。 植林活動の実施前、植林グループは、プロジェクトコーディネーターらと調整し、その年に植林するエリアを決めます。未だこの県は海岸浸食の脅威にさらされているため、まだ植林を必要としているエリアは沢山あります。また、植林活動を希望しているグループもいくつかあるため、その担当エリアの割り振りは大切な仕事です。 今年のTeam ENASAVEの植林地として、高波の脅威にさらされる可能性が少なく、苗の確実な成長が望める場所が選ばれました。 9月の4日間で、総面積1.5ヘクタールに20,000本の Rhizophora Mucronata苗を植えました。苗木と苗木の距離は1メートル×1メートルと70センチメートル×70センチメートルでした。波の影響が強い箇所は、間隔を狭くして植えていきます。そうする事によって苗の間に土壌がたまりやすくなり、より確実に苗は成長できるようになります。土壌は泥です。これはマングローブが成長するために理想的な状態とされています。近々、芽や根が出てくるでしょう。 無事に今回の植林活動は終了しましたが、今後のマングローブ苗の生存率は、植林グループのモニタリング活動にかかってきます。植林し、そのままにされた苗と、その成長を見守られた苗ではまるで成長の具合が変わってしまうのです。Team ENASAVEの植林活動地で植えられた苗木は、高い生存率を保っていますが、その陰には植林グループの継続的なモニタリング活動があるからなのです。 …

ボート乗り場の変化

2015年10月30日|植樹地の様子

中部ジャワ州のエコツーリズムの観光地になりつつあるBedono村の人々の様子の変化をお伝えします。 Bedono村では来訪者数の増加に従い、より多くのボートが必要となってきました。そのため、先日この地域にボート管理組合が作られました。組合のメンバーはボートの所有者たちで、日々観光客らに対してボートの運転とガイドを務めている人々です。 この組合ができる前、ボートの利用料金は定まっておらず、観光客はボートを利用する都度、料金の交渉が必要でした。 今回、組合ができた事により料金は距離や行先に関わらず一人15,000ルピア(約125円)と定められたのです。 ボートは、指定された場所に停泊し、お客様がくるのを待っています。これまで無秩序だったボート乗り場に秩序が生まれ、この地を訪れる訪問者も、安心してボートを利用する事が出来るようになりました。 今、観光ボートは村の大きな産業となりつつあります。平日でも300人、週末には500人もの人が来ることがあります。町にマングローブを復活させたい、という人々の願いは、この地域の魅力アップにつながり、外から人を呼び込み、町の経済を活発化させました。 そして今、村の産業には規律が生まれつつあります。小さなきっかけでこんなに変わっていくものでしょうか。今後もどういう風に変化していくのか、楽しみですね。 Check

ジェパラ県のマングローブは今

2015年9月4日|植樹地の様子

本日は、ジェパラ県のお話。ここは2011年頃から植林していた同じインドネシアの植林地です。 本日はそちらの植林地のその後の様子についてご紹介です! 果たしてマングローブ林は力強く育っているでしょうか。見てみましょう。 先日、植林をコーディネートするオイスカ植林担当と、ジェパラ県の関係者で、この植林地の評価活動が行われました。ジェパラ県からは、ジェパラ県海洋漁業局、森林局、環境局、地域社会エンパワーメント事務所、それにインドネシア海軍が参加しました。 多くの政府関係者らにも参加してもらった理由は、もし、植林地でマングローブ林が波の浸食や養魚池拡大により消失している場合には、その後の問題解決のために協力してもらう事が期待できるし、すでに小さな森を形成しているような場合には、彼らに良い影響を与え、さらなる緑化のために協力を得る事ができるからです。 関係者集合後、村から植林地へはバイクを走らせます。養魚場沿いを走りながら頭に浮かぶのは「マングローブ林の成長」です。そして、到着してみると、、、、 そこにはミニ・フォレストが形成されており、大きなものでは2mほどに成長していました。以前はただの海だった村の海岸線にこのような光景が見られた事は、本当に新鮮な感じがしました。調査に参加した誰もが、以前の光景を頭に浮かべながら、その変化に目を奪われました。 この訪問は植林グループにとって、「今後も植林活動を続けていく」大きなモチベーションとなりました。 この地域の人々がマングローブ林の保護を継続的に続ける理由は「海面上昇」です。以前植林した苗木の一部は、実際に波によって流されています。また、植林地に接していた養魚場は、今はありません。今後も自然災害は起こりえますが、頑丈に育ち生き残ってきたマングローブたちは、次の災害にも耐え抜いてくれるはずです。今回調査に参加した政府関係者ともども、地域の人々がこの緑を守り抜いてくれるだろうと期待しています。 Check

看板は復興のバロメーター

2015年7月10日|植樹地の様子

前回のブログでは植林地にまつわる看板についてご紹介しましたが、今回はそのパート2です!ベドノ村では観光客増加に伴い、色々な看板が設置されています。さて、どんなものでしょうか? 以前もお伝えしたように、観光客の増加後、住民たちは家族の生活を楽にするため、小商いを始めています。看板はそうした商売にまつわるモノです。ちょっとしたお菓子を売るお店、安く定食を食べられるお店、駐車場の案内や、トイレや傘の貸し出しなんかもあります。イベントがある時、傘は大人気!雨除けだけでなく、暑い日の日傘と しても利用されます。看板からも、この村の人々が経済的にたくましくなっていることが伺えますね。 これは、一度崩壊しかけたこの村の復興を示す大切なバロメーターと言えるでしょう。 今、世界中で自然災害が頻発し、その地域のコミュニティの疲弊が問題となっていますが、ベドノ村はその復興の好事例と言えるのではないでしょうか。自然災害によって破壊された自然やインフラが再生されるだけでなく、そこに住む人々の生活が立ち直ってこその復興だからです。 今後、このコミュニティがどのように変化していくのか楽しみですね。 Check

植林地看板一挙ご紹介

2015年5月29日|植樹地の様子

これまでの植林活動や、育ちつつあるマングローブ林は、地元でも大きな注目を集め、今やちょっとした観光地となりつつあります。徐々に訪問者が増える中、植林地に設置されている看板類は重要な役割を担いつつあります。看板は、人々の目に付きやすい場所を選んで設置されています。 今回はそんな「植林地に設置されている看板」のご紹介です。 代表的な看板は、マングローブ林の役割とそこから受ける恩恵について説明しているものです。ふらっとマングローブ林に立ち寄ったような人に 「マングローブ林の役割」などの情報を伝えることが可能になります。 他に、訪問者に禁止事項や注意事項を伝える看板もあります。例えば、この地域で「海へのゴミのポイ捨てや鳥の狩猟、木の伐採、ダイナマイトを利用しての漁、トロール網の利用など」が禁止されている事を伝えるものです。違反すれば罰則や罰金が課せられる事もありますから、気持ちよく過ごしてもらうために必要な看板と言えるでしょう。 これらの看板は、地元政府によって設置されました。きっとこの地を訪れた人たちは、楽しい時間を過ごしながら、世界的な気候変動とその影響、それに対する取組を理解して帰ってくれることでしょう。 Check

次世代へのバトン

2015年3月4日|植樹地の様子

村人達はすでに「ベドノ村が深刻な環境問題に直面している」事を理解しています。それは、満潮時に海を見れば一目瞭然です。1980年代、村の面積は約750ヘクタールでしたが、現在約550ヘクタールとなっています。これらの失われた面積は、今海の一部となっています。 住民達は、「自分たちの生活や未来を守るためにマングローブ植林が大切」だと理解して以来、次の世代、つまり村の子供のために、村を守っていきたい、その知識を伝えたいと考えるようになりました。そのため、村の子供たちは小学校3年生からマングローブ植林に参加するようになっています。 現在の村の人口は2,500人ほどで、その内0~15歳の人口が占める割合は約38%と大きな割合を占めています。この子供たちに、環境保全について学んでもらうことは、長くこの地域に環境保全を根付かせるために最も大切な事だと言えるでしょう。 Check

マングローブバハリ

2015年1月29日|植樹地の様子

2009年にタイから始まり、現在はインドネシアで行われているチームエナセーブGREENプロジェクト。2011年にインドネシアでこの活動が始まって以来、植林準備から実際の植林まですべてを担当しているグループがあります。彼らの他にプロジェクト全体を管理する全体コーディネータもいますが、しかし、現場で住民らと共に頑張りとおしたのは、この植林グループでした。彼らはこの植林の要であり、彼らなしではプロジェクトの成功はなかったと言えるでしょう。 このグループは「Mangrove Bahar(マングローブバハリ)」と呼ばれます。これは「海のマングローブ」を意味します。中心メンバーは5名で構成され、5名はそれぞれの役割に責任を持っています。彼らのコーディネートの元、村の住民は植林活動に参加する形になっています。 彼らは、「リハビリテーション(復元)」と「教育」という2つの委員会を結成しています。リハビリテーション委員会は、植林に関する事を担当します。教育委員会は、住民に対する「植林活動の意義」を訴えかける仕事です。 グループにとって、最も大切な仕事は、植林サイト巡視とメンテナンスです。彼らはずっと、フジツボの食害や、苗木の流失などのようなあらゆる問題を防いできました。これまでのところ、重大な問題がでなかったのは、彼らの熱心な仕事ぶりによるものだといえるでしょう。 それぞれのメンバーは他にも仕事をもっています。自分の仕事が忙しい場合でも、必ず時間をみつけてサイトにでてきます。彼らのそういった日々の努力により、マングローブは美しい森となりつつあります。 Check

植林前の準備

2014年10月30日|植樹地の様子

インドネシアではマングローブ植林のシーズンを前に、 植林準備が始まっています。 準備は、多くの人の手によって行われます。 今回はそんな「植林前の準備作業」についてのご紹介です! まず、苗を植える際に使われる杭の準備です。 マングローブの苗は細長い棒状をしているため、 単純に植えただけではすぐに倒れて波に流されていきます。 そのため、長い杭を植えこみ、そこに沿うように苗を植えていくことで、 苗をしっかりと成長させることができるようになるのです。 通常、杭として「竹」が使われますが、この地域に「竹」は生育していないため、 …

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